スイッチコンパスが進化|1mm目盛り・カラフルベゼル・藪で外れないベルト
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公開日:2026年7月1日|著者:中田 博喜(KATANA Adventure Ltd. 代表)
ついに金型を製作し、スイッチコンパスが進化した。
うちで一番売れているのが、このスイッチコンパスだ。通常のサムコンパスやプレートコンパスより、ずっと出ている。ありがたい話だ。これまでは3Dプリンターで一つずつ手作りしてきたが、詰め込んだこだわりを、手作りではなく「製品」として世に出したかった。それでKanPasに金型製作とOEM生産を頼んだ。「KanPas × KATANA Adventure」のダブルネーム版が、継ぎ目のない一体成形で仕上がっている。
前から手を入れたかった細かいところにも、今回は全部踏み込んだ。自分で創っておいてなんだけど、完成度は非常に高い。何がどう変わったのか、順に書いていく。コンパスそのものの選び方は「コンパスの選び方」にまとめてあるので、そちらも合わせてどうぞ。
📸 KATANA Adventure スイッチコンパス 金型量産版 — 「KanPas × KATANA Adventure」ダブルネームモデル
Chapter 01
進化ポイント
変わったのは、この5つ。
派手な変更ではないかもしれない。でも走りながら片手で使う道具だから、こういう小さな差が、じわじわ効いてくる。
—— と、詳細へ進む前に。この記事で初めてスイッチコンパスを知った人もいるだろうから、そもそもこれが何なのかを先に書いておく。
スイッチコンパスは、サムコンパスとリストコンパスをワンタッチで切り替えられる、KATANA Adventure独自設計のコンパスホルダーだ。精度が求められるときは、親指に装着する「サムモード」。林道歩きで補給したいときなんかは、手の甲側へスライドさせて「リストモード」。ゴム紐が手首と親指に絡む構造だから、どちらのモードでも藪に絡めとられる心配がない。アドベンチャーレースの長い行程で、コンパスに気を取られる時間をとにかく減らしたくて創った。サムコンパスやリストコンパスそのものの違いは「コンパスの選び方」に詳しく書いた。
サムモードとリストモードをワンタッチで切り替えるスイッチコンパスの構造。
Chapter 02
世界初!?の1mm目盛りサムコンパス
今回いちばん気に入っているのが、この1mm目盛りだ。
サムコンパスの目盛りは、どこのメーカーもだいたい5mm単位。私が調べた限り、1mm目盛りのサムコンパスは世界のどこにもなかった。私自身、長いこと5mmで走ってきて、距離なんて感覚でつかむものだと思い込んでいた。ところが1mmにしてみたら、なんで今までこれがなかったんだと拍子抜けするくらい良い。地図上の距離をきっちり読めると、藪の中でも「あと何メートル」の見当が正確につく。距離測定はプレートコンパスに一歩譲る —— それがこれまでの常識だったが、サムでもかなり際どいところまで詰められた。
カラフルベゼルも気に入っている。角度の目盛りに色をつけただけ、と言われればそれまで。でも揺れる視界の中で、針が狙った方向にいるかどうかがすっと目に飛び込んでくる。走っているときは、これがちゃんと効く。
1mm目盛りのスケールルーラー、カラフルベゼル、そして抜け止め縫製を施したゴムベルト末端。
Chapter 03
藪でベルトが外れない
スイッチコンパスを創って一番良かったと思うのは、指から抜け落ちる不安が消えたことだ。この話は「コンパスの選び方」に書いた通り。掌が緩んでも親指の付け根に吸い付くフィット感は、旧モデルからの持ち味。そこは今回も変えていない。
新しく手を入れたのは、ゴムベルトの末端だ。抜け止めのために、折り返して縫い足した。藪を漕いでいると、ゴムベルトが枝に引っかかって、そのまま抜けてしまうことがある。それを防ぎたかった。細かい話に聞こえるかもしれない。でも、コンパスの心配をせず、両手を使って濃い藪に突っ込んでいける —— これは大きい。
Chapter 04
海外向けの針も用意。カプセル単体での販売も
コンパスの針は、緯度帯によって水平を保つバランスが変わる。我々の遠征予定であるマレーシアやインド、アメリカは、たまたま日本と同じゾーン。だから自分たちは特別な準備がいらない。ただ、北欧のオリエンテーリングに挑む人や、ニュージーランドやパタゴニアへ遠征するとなると、話は別だ。現地で調達するのは、なかなか不安なもの。そういう人のために、全ゾーンの針を在庫している。出発前に相談してもらえれば、日本で揃えて持っていける。
コンパスカプセルは単体でも販売している。転んで割ってしまっても、カプセルだけ付け替えればいい。このカプセルはKanPasのエリートコンパスMA-46-FSを使っているので、性能面も安心だ。気になったら気軽に問い合わせを。
進化したスイッチコンパス
1mm目盛り・カラフルベゼル・藪で外れないゴムベルト。
カプセル単体販売や地域別の針は、公式LINEや問い合わせから気軽にどうぞ。
藪漕ぎ用ゲイター・マップボードも同じショップで揃います
よくある質問
Q. 旧モデルと何が変わりましたか?
3Dプリント試作から金型量産版へ移行した。クリアモデルは1mm目盛りに、ベゼルはオリジナルのカラフル仕様に、ゴムベルト末端には藪で外れないための抜け止め縫製を追加。継ぎ目のない一体成形になり、カプセル保護用のシリコンカバーも付いた。
Q. コンパスカプセルだけ買い替えられますか?
できる。カプセル単体でも販売している。割れてもカプセルだけ付け替えられる。KanPasのエリートコンパスMA-46-FSなので性能も申し分ない。
Q. 海外遠征でも使えますか?
使える。地域別のバランス針(Zone a〜d)を在庫している。遠征先の緯度帯が変わるなら、出発前に相談してほしい。
Q. オリエンテーリングにも使えますか?
使える。サムモードで普通のサムコンパスとして機能する。KanPasのエリート向けモデルを使っているので、針の速さと安定は心配いらない。
著者:中田 博喜(KATANA Adventure Ltd. 代表)
埼玉大学機械工学科卒業後、建設機械メーカーにてエンジニアとして16年間勤務(米国イリノイ州に3年駐在)。2023年に帰国、2024年に独立しKATANA Adventure Ltd.を創業。チーム「ふきのとう / KATANA Adventure」として国内外のアドベンチャーレースに参戦。ニセコエクスペディション2連覇(2024・2025)。2026年11月はARWSシリーズ「ADVENTURE @ MECHUKHA」(インド)、2027年4月はA1ワールドカップファイナル(マレーシア・ランカウイ)に挑戦予定。